インタビュー

コンテンツメーカー マツイヒロキさんへのインタビュー【第1部】「企画を生み出すルーツとは?」

マツイヒロキさんと佐藤久美の対談です。

マツイヒロキさんは、数々のヒット教材、ヒット企画を生み出されてきた、コンテンツメーカーです。「商店街構想」「日常のコンテンツ化」など、人が考えつかないような視点をお持ちで、その視点は独創的でとてもおもしろく、マツイさんの世界にどんどん引き込まれていきます。

このインタビューでは、人と違う切り口の企画をどんどん生み出してしまう、マツイさんの企画人生にまつわるルーツをお聞きしました。

久美
久美
今日はコンテンツメーカーのマツイヒロキさんにお話をうかがいたいと思います。ではマツイさん、よろしくお願いします!
マツイさん
マツイさん
はい、よろしくお願いします 。
久美
久美
マツイさんといえば、いっぱい企画を作られていると思うんですけど、その企画自体がちょっと人と変わっていると言うか・・・いつもすごくおもしろいなーと思っていて、そのルーツにまつわるお話をお聞きしたいなと思っています!
マツイさん
マツイさん
企画ですね!なるほど、ありがとうございます!

なんと!160本を超える企画を発表!

マツイさんは、大手新聞社に19年の間、お勤めされていました。新聞社にお勤め時代の19年のうち、半分以上にもなる約10年、新聞社の企画に携わっていたそうです。

新聞社を退社した後は、すぐに会社を作って独立されたのですが、驚くことに独立されてから今までで、マツイさんが手がけた企画の数はすでに160本を超えているとのこと。

マツイさんは独立して約10年となっていますので、月に1本から2本の企画を、ずっと発表し続けているんですよね。なんでそんなに企画が生み出せてしまうのか、どこで学んだのかをたっぷりお聞きしました。

久美
久美
えー160本ですか!すごいですね!
マツイさん
マツイさん
そもそも面白い物っていうのを追求するのが趣味みたいなところがあって、子供のころに落書きするような感覚の延長線上で、企画で遊んでるって言う感じなんですよね。

企画を考えるのが趣味とはどういうこと?

マツイさんは、時間がかかるような趣味や、お金がかかるような趣味をお持ちではなく、おもしろいものを追求するのが趣味。これは、企画を作ること自体がおもしろくて、企画で自分自身が遊んでいるという感覚で、企画を作られていらっしゃいます。

それはまるで、子供のころに落書きするような、粘土細工をするような、そういう延長線上で、「企画で遊んでいる」という感覚・・・何よりも、企画を通してマツイさん自身がおもしろがるという感覚でずっと企画を作られてきました。

160本の企画を作ったと聞くと、「え?そんなに?」と思うわけですが、ちゃんと数えるともっと企画の本数は多いとのこと。ちゃんとわかっている企画だけで160本ということで、正確にはもっとあるそうです。

久美
久美
私はマツイさんが新聞社に、長くお勤めされていたとうかがっていましたので 、その頃に企画の発想の仕方とかを学ばれたのかと思っていたんですけど、そういうわけではないってことですね 。
マツイさん
マツイさん
あー全く違うんですよ。ただ結果的に19年のうちの半分以上、10年間ぐらいは企画に携わっていました。

企画専門の部署は当時なかった

新聞社に入って最初の10年くらいは、地方に行ったり、都内を駆けずり回ったりしていたそうですが、後半の10年は、マツイさんの仕事の中心が企画となりました。

マツイさんはずっと、「新聞」が長く生き残っていくためにも、企画というものがとても重要だと、会社にずっと提案をされていました。ですが、当時はまだ、企画専門の部署など存在せず、「じゃあ、マツイさんやって」みたいな感じで、言われたのがマツイさんの企画人生の始まりでもあります。

マツイさん
マツイさん
「じゃあ、お前やれ」みたいな(笑)

だから、マツイさんより前に、その新聞社の中では、企画に携わっていた人がいなかったので、誰かに企画について教わったとか、そういうことではなく、企画の作り方の本や新規事業関連の本、あるいはもっと畑違いのエンタメ系の企画を作るための本など、とにかく企画がらみの本をたくさん詰め込んだそうですよ。

マツイさん
マツイさん
でも結局、本で読んだり、勉強会に参加したことを、つぎはぎで使ってみて、自分の中で使いやすいものを残していった・・・みたいな感じだったんですよね。
久美
久美
なるほどー
マツイさん
マツイさん
だからそれが今、活きているって言えば、活きてるかなと思います。
久美
久美
新聞社の企画といえば、作文コンクールとかそういうものですか?
マツイさん
マツイさん
あ、もちろんそういうのも企画ですよね。
久美
久美
そういうものではなくて、もっとこう、違うところからいろいろな何かをやられていたんでしょうか?
マツイさん
マツイさん
では思考の補助線の中の、「主客転倒(しゅかくてんとう)」の典型的な例をお話しますね。

思考の補助線とは?

思考の補助線とは、アイデアの1つの元ネタがあって、そのままだと、どこかの誰かがやったものと、似ているような感じなってしまうので、そうではなくて、その元ネタを違うものに変形させて、使えるようにしようというもの。

観察対象の前提をひっくり返したり、情報の送り手と受け手の立場を逆さまにしたりすることで、全く別の企画を生み出すことができます。

これからお話する「主客転倒(しゅかくてんとう)」というのは、思考の補助線の1つになります。

「主客転倒」を用いた新聞社時代のマツイさんの企画例

新聞記者というのは、一般的には報道記者を指します。報道記者は、大学でジャーナリズムの講義をよく行うそうです。講義を行う一番の目的は、新聞の価値を学生に伝えることによって、若い人の新聞購読率の上昇を狙うもの。

でも、新聞に興味を持ってもらうんだったら、学生に新聞作ってもらった方が早いよね、という議論もあるので、学生に新聞を作ってもらって、新聞発行社側が読者として学生が作った本を読む、という1つの企画が出来上がります。

マツイさん
マツイさん
こんな感じで、主体と客体が入れ替わるから、これが「主客転倒」と言う考え方なんですよね。
久美
久美
なるほどー
マツイさん
マツイさん
こういう感じのを昔からやってましたね 。
久美
久美
いや、ホント今と変わらないですね。
マツイさん
マツイさん
変わらない変わらない全然(笑)

「ずらし」を多用していた新聞社時代のマツイさん

思考の補助線には「ずらし」というのもあります。当時のマツイさんは、新規事業にも携わっていました。その新規事業は、どうしてもお金がかかる事業だったそうです。

会社が、その仕事だけをさせてくれるのであればよかったのですが、そうもいかず、毎週1回役員室で新しい企画を提案していたそうなんですよね。しかも、一度の提案で企画は5本。

普段やっている事業が、お金がかかってくるものだったので、ここで提案する企画は、全くお金がかからないような、元ネタをちょっとをずらして、新しい価値を見つけるようなことをマツイさんが30代のころにやられていたそうです。

マツイさん
マツイさん
こういうものを意識して使ったのは、今から20年前ぐらいか・・・ もっと前かなー
久美
久美
すごいですね!
マツイさん
マツイさん
だから「思考の補助線」なんて言葉は後付なんですよね。
久美
久美
思考の補助線おもしろいですよね~
マツイさん
マツイさん
こんなことばっかりやってたから、新聞社にいながら、全然関係ないことをやってお金もらってたみたいな(笑)
久美
久美
企画のお仕事がしたいから、新聞社に入ったとかじゃ全然ないってことですよね?
マツイさん
マツイさん
全然、全然!新聞社に入ること自体、全然考えてなくて・・・
久美
久美
え?そうなんですか?

マツイさんが新聞社に入られた理由

じつはマツイさん、就職すら全然考えてなかった学生で、どちらかといえば夢見がちな少年だったそうです。マスコミ志望とかでもなく、たまたまお蕎麦屋さんでそばを食べながら新聞を読み、そこにたまたま就職セミナーの記事があって応募したのがきっかけ。

しかも、それはただのセミナーではなく、ジャーナリスト志望の人向けのセミナーで、試験も面接もあるもの。合格したら新聞社に入社するということを、後から知ったそうです。

マツイさん
マツイさん
ただ、これには理由があって、当時はバンドばっかりやってて・・・ライブをするにもお金がかかるし、楽器を買うにもお金がかかるし。ホント、お金がない学生生活を送っていました。

だから、バイトも掛け持ちでやられ、あとはすべてバンド活動をしていたので、まったく余裕のない生活を送っていたので、就職活動のことをすっかり忘れてしまっていたそうで・・・

バイト先の飲食店で、そのまま就職しようかとも思ったそうなんですが、親に反対され、就職も考えた方がいいかな、と思ったときに見たのが、新聞社でした。

マツイさん
マツイさん
申し込んで、行ってみたら、そのまま通っちゃったから今に至る・・・という感じですね
久美
久美
いや、もう全然、私が思っていたイメージと違いましたね。。
マツイさん
マツイさん
だからそう言われてみると企画って言うことに関しては、全然勉強もしなかったですね。学生時代もバイトしかした記憶がないし、就職しても会社入っても、最初の10年ぐらいは地方に行ったり都内の方で駆けずり回ってたっていう記憶しかないし・・・
久美
久美
あーーーすごいですねーーなんか^^
久美
久美
あれ・・・これ、新聞社から独立した理由って聞いても大丈夫なんですか?

第2部へ続く・・・お楽しみに!